イレギュラーなケースの例
オンライン資格確認を使用する上で、今までの保険証利用では想定していなかった様々な事例が発生しています。事前に想定している「イレギュラーなケース」については医療機関等向け総合ポータルサイトに資料「運用時のヘルプガイド」が掲載されています。
この資料の中で
- 顔認証付きカードリーダでマイナンバーカードが読み取れない・認識されない
- オンライン資格確認で確認できる内容と保険証の券面情報が異なる
- 資格はあると思われるものの、確認結果が「無効」や「該当なし」になる
- 問い合わせた結果別人の情報が表示される
- 高齢者受給者証の負担割合と適用区分に齟齬がある(「1割、2割負担」なのに「現役並み」)
などの事象が発生した場合の対応について記載されています。
また、別の視点では
- 患者がマイナンバーカードも保険証も持参していない場合
- 患者が保険者を異動した直後に受診した場合
- システム障害の場合
などについても記載があります。イレギュラーなケースに遭遇すると慌てますので、ぜひ一度目を通しておくことをおすすめします。
オンライン資格確認システム障害が発生した場合
システム障害が発生した場合、それが当該医療機関だけの障害なのか、あるいは他医療機関も含め大規模な障害なのか、瞬時に判断することは非常に難しいと思います。もちろん目の前にある装置の電源が入らないとか、そういった見ればわかる障害もありますが、オンライン資格確認システムはネットワークを使い、センターへの問い合わせを行っていますので、途中経路の何らかの障害であった場合は、施設起因か、インフラ起因か、それともセンターの障害か識別することは困難でしょう。
現時点では、まだ健康保険証を持参しているケースがほとんどですので、障害時の対応についても健康保険証による確認を行えると記載があります。また、特例的な対応として、『患者様自身のアクセスによる「マイナポータルに表示される被保険者資格情報の提示」による確認も認められる』とあります。これを機会に、患者様側でもいつでもマイナポータルにログインし、自身の保険証情報を表示できるよう慣れておく必要があるかもしれません。政府もこういった啓蒙を積極的に行っていただきたいものです。
更に、障害発生時に来院した患者の「氏名、生年月日、性別、住所」等を記録しておき、事後に「緊急時医療情報・資格確認機能」を使用し問い合わせを行うこともできます。ただし、この機能を使用するには、「機能を使えるようにすること」が必要ですのでオンライン資格確認のコールセンターに問い合わせが必要です。
(こちらにもイレギュラーケースにおける運用の記事がありますので参照ください)
患者名漢字が●で表示されている
患者名漢字が●で表示されているのはイレギュラーケースではなく正常な動作です。
オンライン資格確認の「外部インタフェース仕様書」によると、
既存システム側で作成する要求ファイルの文字コードは、”UTF-8”又は”Shift_JIS”となる。連携アプリケーションは要求ファイルのXMLヘッダのencodingタグを参照し”Shift_JIS”の場合は”UTF-8”に変換し要求処理を行う。
”Shift_JIS”の文字コードについては、JISの第一水準と第二水準以外の文字は対応していない。
JISの第一水準と第二水準以外の文字が要求ファイル内に含まれている場合、要求データ取込時にOQSB3135Eエラーとなる。
と記述されています。オンライン資格確認側はUTF-8で処理を行っているという内容です。これに対して、第一水準、第二水準以外の文字は対応していないと記述されています。
また、オンライン資格確認の結果ファイルのShift_JIS範囲外の文字コードの扱いには以下の記述があります。
個別設定マスタの文字コード識別が”1”(Shift_JIS)の場合で、返却する結果データにShift_JIS範囲外の文字コードが存在する場合は、連携アプリケーションにて、該当文字を“●”(UTF-8文字コード=E2978F)に変換し結果ファイルへ返却する。
レセコンとの連携が図られたシステムで、新患の登録を行った際に患者名漢字が●になっていても、レセコン側、オンライン資格確認側、いずれのシステムの障害ではありません。(レセプト請求の際も●になった漢字は使用できない文字ですので、例えば 髙(はしごだか)を別の漢字(例えば高)に置換する設定があるように、施設側での対応が必要になります)