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マイナ保険証の文字化け?いいえ化けていません

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マイナ保険証を使うと、いつも私の苗字が化けてしまい、受付窓口のスタッフも困っている様です。役所に行って、「文字が化けているので直して」とお願いしているのに、一向に直りません。

報道でも誤解している「文字化け」表現

こないだテレビでも報道されていたのですが、「マイナ保険証で患者の保険情報を取得すると、名前の一部が●になって、文字化けしている」という表現。全く化けてはいませんし、医療事務に携わったことのある方であればご存じと思いますが、レセプト請求でも使用できない漢字が多く存在しています。これって一体何なのでしょうか?まずは文字が●に変わってしまう原因について考えてみましょう。

コンピュータで扱える文字は限界がある

そもそのも話ですが、コンピュータ内部では「文字」は「数字の羅列」でしかありません。たまたまモニタに表示、紙に印字したときに、人がわかる形として文字が現れます。コンピュータの内部には、「数字の羅列」との関係づけがされた「フォント」が用意されていて、例えば「88EB」という数字の並びがあった場合に「壱」という文字を表示するという仕組みになっています。(シフトJISの場合)

一時期話題になったのですが、「(つじ:シフトJIS 92D2)」という字が、前は1点しんにょうだったのに、あるときから2点しんにょうに変わったということがありました。これはあくまでもコンピュータ内部で扱う「数字」は同じで「フォントの見た目」が変わった例です。
ただ「辻󠄀」という1点しんにょうの文字も入力出来ないこともないのですが、これは「環境依存」であり、全てのコンピュータで正しく認識できるとは限りません。もちろんコンピュータ内部で扱う「数字」も異なります。(注:フォントによってはシフトJIS 92D2が1点しんにょうである可能性もあり、このあたりは一概に断定できるものではなさそう)

ここで、何が言いたいかということですが、異体字と呼ばれる漢字は数え上げればきりがなく、ほんの一例としてであればこちらに掲載されているものがあげられます。異体字だけではなく、漢字は無限とまでは言いませんが、戸籍への記載時に間違って記載した文字なども含めて非常に多くの文字がある中で、やはりどこかで線引きをしないとコンピュータでの処理を円滑行うことが出来ません。その線引きが必要であるため、線引きに漏れてしまった漢字は「●」で示しているということです。
実はこの線引きが、思いのほか範囲が狭くて、かなり身近な文字であっても「●」になっているというのが現状です。
先日、オンライン資格確認端末を導入し、試しに院長先生のマイナンバーカードで顔認証を行い、お名前4文字のうち半分の2文字が●になってしまいました。レセプトコンピュータで取り込んだお名前は「●野●男」のようになっています。さすがにこれでは一体誰だかわからず、気まずい思いをしたのですが、誰のせいとも言えないので仕方がありません。

こちらに「文字環境導入実践ガイドブック」という資料が掲載されていました。デジタル化を行う上でお名前の漢字表記をどうするかといった考察がなされており、非常に興味深い内容です。

黒丸(●)にはどう対処すれば良いのか

マイナ保険証を利用するたびに、お名前の一部が●になるのは利用されたご自身も、医療機関側も気持ちの良いモノではありません。このような場合は健康保険の保険者に問い合わせをするよう案内されています。これはマイナ保険証の資格情報は保険者が登録しているためです。保険者へ問い合わせても対応方法がわからないといった場合は、保険者から「デジタルPMO」へ問い合わせるということになっているようです。●になっているからといって、電子カルテやレセコンのベンダに問い合わせても回答は得られませんし、対応も出来ません。

個人を特定するにはコード化するしかないのでは?

ここからは余談で勝手な意見
あえて保険証の情報を資格確認システムから引用するのではなく、マイナ保険証というキーで医療機関ごとに一意のコードを付与することで、その医療機関では、一生そのマイナ保険証だけで受診出来るようにすれば良いのでは?って思ってしまいます。保険者が変わって、被保険者の情報が再登録されるたびに「●」になっていては非効率でしょうから。そうしたら、国保や社保の区別も医療機関側では意識しなくて良くなりますが、そんなのは難しいですかね。

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